研究趣旨

人種表象の日本型グローバル研究(科研基盤(S))

本共同研究は、科学研究費補助金基礎研究から助成を受けています。(課題番号:22222003)

研究の背景・目的

生物学的概念としての「人種」の実在性が否定されて久しい。だが、なぜ人種差別は一向に解消の兆しが見えないのだろうか。従来の欧米主導の研究は、皮膚の色などの視覚表象に着目してきた。だが、日本やアジアでは、視覚表象だけでなく、非視覚表象も差別を作り出している。また急速なグローバル化により、複数の文化的背景をもつ子どもたちが日本国内でも増えている。本プロジェクトの主な目的は次の2 点である。

  1. 人種の視覚表象だけでなく、「血」のイデオロギー等の非視覚表象をも検証し、人種の社会的リアリティが構築されるメカニズムを解明する。さらに、日本やアジアの事例と欧米の事例を接合させながら、そこに通底する人種表象の仕組みを検証する。
  2. 科学表象について、公衆衛生や社会政策との関連において人種をめぐる学知がどのように動員されたかを歴史的に検証するとともに、現代のゲノム研究における集団のラベリングの問題にも目を向ける。

いずれの研究も、本研究の代表者・分担研究者・連携研究者・研究協力者が分野横断的な国際共同研究を行い、その成果を国際的に発信する。同時に、国内においても、日本における人種やマイノリティ集団に対する偏見、差別をめぐる問題の解明に寄与したいと考えている。

研究の方法

本研究では、学際的かつ国際的な共同研究を行う。すなわち、文系理系の様々な分野・領域を専門とする研究者が、広義の「人種」を切り口として、ジェンダーや階級等との交差にも注意を払いながら、年10回程度の研究セミナー等で議論を重ねる。さらに、国際的なネットワークを通して海外の研究者との国際共同研究を行う。

期待される研究成果と意義

研究の意義

21 世紀の課題は、19 世紀や20 世紀前半型とは異なる「見えない人種主義」である。本研究は、先行研究で多く扱われてきたアフリカ系や先住民などだけではなく、被差別部落やコリアンなど「見えない人種」をめぐる表象も含めることによって、他地域における「見えない人種」の表象をも逆照射する。欧米の植民地経験に基づいて構築されてきた従来の人種研究と、日本・アジアの視点に基づく人種研究を、海外研究者らとの連携により接合させる。それによって、日本型グローバル研究の成果を日本から国際的に発信し、さらに広く社会に発信するものである。

トップ画像クレジット

こちらをご覧ください。