人種の表象と社会的リアリティ


  • 竹沢泰子(編)
  • 出版年: 2009年
  • 出版: 岩波書店
  • 定価: 4,830円(税込)
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人種のリアリティはなぜ生みだされるのか

「人種概念」が生物学的実体をもたず、社会的構築物にすぎないということが了解されてから久しい。しかし、その人種が21世紀になってもかくも強固な社会的リアリティをもつと信じられているのはなぜだろうか。本書は「概念」と表裏一体の関係にあるその「現実感」を理解するための手がかりとして人種の「表象」に着目する。真実の歪曲として表象を論じるのではなく、様々なメディアや言説を通して人種の現実感を生み出す表象の主体的役割に光を投じる刺激的考察。

目次

I 人種とジェンダー・セクシュアリティ・階級の交錯
1 異人種間接触の物語―アメリカ合衆国の人種秩序の政治と表象
貴堂嘉之
2 「哀れなカッフィ」とは何者か?―黒い肌のチャーティスト
小関隆
3 もうひとつの「ネルソンの死」―黒人と女性はなぜ書き加えられたのか
井野瀬久美恵
II 「見えない」人種の表象
4 虚ろな表情の北方人―「血と土」の画家たちによせて
藤原辰史
5 「顔が変る」―朝鮮植民地支配と民族識別
李昇燁
6 〈見えない人種〉の徴表―映画『橋のない川』をめぐって
黒川みどり
III 科学言説の中の人種
7 混血と適応能力―日本における人種研究1930-1970 年代
坂野徹
8 ヒトゲノム研究と人種・エスニシティ概念
加藤和人
IV 21世紀を歩みだした対抗表象
9 チャベス政権下ベネズエラにおけるアフロ系子孫の自己表象戦略
石橋純
10 ポスト多文化主義における人種とアイデンティティ―アジア系アメリカ人アーティストたちの新しい自己表象
竹沢泰子
11 人種表象としての「黒人身体能力」―現代アメリカ社会におけるその意義・役割と変容をめぐって
川島浩平